砂漠で過ごす30歳の誕生日! ひとりぼっちインディア06

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インドから帰ってきてもうかれこれ時間が経っていますが、先日ツイッターで「更新されているところまで読みました」と声をかけてくれた方がいて、せっかくなのでインド旅行記最後まで書こうと思い続きを書いています。インドの話どんだけ引っ張るんだよ・・・と思っておられる方、わかります。私もそう思っています。ですが、もう少しお付き合いください。

これまでの話

誕生日の瞬間を砂漠で野宿しながら過ごすため、やってきた砂漠の村。

なんとか30歳の瞬間に砂漠にいるためにその日のうちに砂漠へ出ようとするが、ラクダ使いのアルジュン氏に翌朝出発するように説得され、翌朝のキャメルサファリに備える。

 

旅の目的↓

インド旅行1日目↓ 

 

前日(インド5日目) ↓ 

 

砂漠で過ごす30歳の誕生日! ひとりぼっちインディア06

咳が止まらない。ぼろぼろになって目覚めた30歳の幕開け。

シャワーを浴びて外に出た。

ドアをあけると部屋から出てきた私を見て少年がお誕生日おめでとうって言って握手してくれた。

ありがとう、キミがおめでとう一号やで。

そうすると会う人会う人みんなおめでとうって声をかけてくれていつの間にか私が誕生日なことを知っているみたいだった。

しばらくすると、さっきの少年が朝ごはんだよ!っていってスペイン人カップルの部屋をノックした。

アルジュンのごはんはすごく美味しい。

あまりスパイスが強くなくてインド料理がちょっとだめになってきた私にはすごくうれしかった。

ごはんを食べている間に、私のまわりをチョロチョロするサントス。

小さい声でチョコレートとつぶやくんだけど、残念ながら私はお菓子をもっていない。なぜなら昨日井戸の周りでおかし取られた配ったから!!

すまん!

しばらくするとキャメルサファリに出発する。

飲水はそれぞれがアルジュンのおっちゃんから購入する。何本くらい必要?って聞くと4本くらいじゃないかな。と言われ水1.5L4本購入。1本は自分のリュックに入れて3本はラクダとその上にかけてある座席の間にしまい込む。水がなくなったら新しいものを出してもらうスタイル。

夜砂漠に飲み物とか必要なものを届けるけど何がいる?ってっ聞かれてとりあえずビールを2本頼んだ。

砂漠でビールとか絶対うまい!私そんなにお酒飲まないけど、スペイン人がきっと飲むだろう。

そしてキャメルサファリにいざ出発!

私とホセ、ラウラの3人に対してガイドは2人ついた。

ひとりは20すぎくらいのお兄ちゃん。必要以上のことは全くしゃべらないクールガイ。

もう一人は朝1番におめでとうって声をかけてくれた少年。

あの少年、ラクダ使いだったのか!!

実は密かにラクダに乗る予習を(偶然にも)昨日していた私はどのくらい揺れるかどんなふうにすればいいか分かっている。

それでもやっぱり大きく揺れるのでラクダが立ち上がる瞬間はドキドキした。

絶対これ、今までに落ちた人何人かいると思う。

少年が2頭のラクダをひっぱり先頭を歩く。

兄ちゃんのほうが後ろを歩き私のラクダを引っ張る。

昨日のラクダみたいに走ったりはせずにひたすら歩いて進んでいく。

ひたすら・・・

ただひたすら・・・

砂漠というよりは荒野ってかんじだった。

私の乗っているラクダはバブルと言う名前でラクダ使いの兄ちゃんはラナって言うらしい。

しばらくラクダに乗って進んでいると、遠くに猛スピードでラクダが走っていくのが見えた。猛スピードで砂漠をかけぬけ立ち止まってはえている木の葉っぱを食べ、また走って行き葉っぱを食べというのを繰り返している。荷物はのせていなさそうだし、見える範囲に人影は見えない。

「ラナ、あれって野生のラクダ?」

「そうだよ。」

「うわ!!野生のラクダもいるんだね!!!」

「うん。」

必要以上のことはしゃべらないクールガイである

飼われてるやつしかいないと思っていたんだけど、野生のラクダって結構いるもんなんだね。

茂みからポケモン飛び出してくる時、たぶんこんなかんじなんだと思った。

野生のラクダが飛び出してきた!

昼前までラクダに乗って砂漠というより荒野を進んできた我々の目の前にとうとう砂漠が現れる。

大きな木の下で止まってここで3時まで休憩だそういってラクダに積んでいた荷物を降ろしてラナたちはお昼ごはんを作り始めた。

レジャーシートをひくテンションで布団を引き始めてここに座って休んでいいよって言われた。

荷物をおろしたラクダは開放感にあふれていて地面にゴロゴロと背中をこすりつけている。

スペイン人の女の子ラウラがネコみたいでかわいいねって言った。

確かに!!ごろにゃんごろにゃん言いそうな仕草だ。

せっかく砂漠を目の前にしているので木陰で休憩よりも探検だよね!

荷物は木陰に置いてカメラとiPhoneを持ってうろうろしてみる。

砂漠の上をビーチサンダルで歩くと砂に埋もれてすごく歩きにくかった

砂に足を取られながらゆっくり丘の上に向かってみる。

途中でビーチサンダルの鼻緒がすっぽ抜けて壊れてしまった。

鼻緒を自分で無理やり直してまた歩き始めるけど、数歩歩くとまたすぐにすっぽぬけてしまう。

仕方ないので裸足になって歩いてみると、砂が焼けて熱くなっていてとても歩ける状態ではなかった。

走って熱が伝わる前に足を離す作戦も、砂に足が沈むのでうまくいかずそれでも日陰を探して走り続けるしかなく、足に大きなダメージを受けた。

これ、周りに人がいればまだ楽しそうな一コマかもしれないけど、終始ひとりでやってるからね。

砂漠の真ん中で砂が熱くてひとりで跳ね回る30歳のお誕生日”ガール”。想像してみて。地獄ですよ。

まあ、砂漠とはきっとこういうものなんだ。私が求めていた寂しさとは少し違うかもしれないけど、大きくくくればそれの1つかもしれない。

それからはみんなからちょうど見えない砂山の影で砂漠と私のセルフィー写真を撮り(←地獄)

ひとりでも楽しく過ごせました。ただし、飽きるのは早い。笑

 

ラナ達がご飯を作っている木陰に戻って料理をしているのを見学。

少年がいないなって思っていたら薪をひろってきたみたいだった。

砂漠はとても乾燥しているから、よく燃える木が結構そこらじゅうに落ちている。

ラナの料理がすごく美味しいんだ!インドインドしてなくて。

砂漠で過ごす時、水の確保がとても重量。来る途中に井戸で汲んだ水を使います。水はたぶん2Lくらいのポリタンク2つ分。

これで昼ごはん、夕ご飯、次の日の朝ごはんをまかなうとなると洗い物にもそんなにたくさん水を使うことができません。

ではどうするか?砂で洗います。

さすが砂漠!これがキレイか汚いか、私にはわからないんだけど特に死ぬほどお腹壊したわけでもないし郷に入っては郷に従えです。マイペンライです。

ご飯を食べたら3時までお昼寝木の陰に布団引いて寝てたんだけど長時間の滞在で日陰がどんどん移動していきその度に布団を少しずらしながら昼寝。熱くて目が冷めたら自分が完全に日向に出ていたりとか。大自然お昼寝です。

私達のまわりをヤギがウロウロしていてチャパティー盗んで逃げていったり。ほどほどにハプニングがありながら。

すごく慣れてて近くまで寄ってくるけど、こいつらホントにかわいくないな!(顔が)

3時になったらラクダ使いの少年がどこからともなくラクダを連れて帰ってきた。

休憩中の3~4時間、ラクダは放牧されて自由にその辺で草とか葉っぱとかを食べています。前足を縛られているのであまり遠くにはいけないようになってはいますが、

いなくなったりしないんだろうか・・・

再び出発、今度はすぐ近くの村によって行くらしくラクダには乗らずに歩いて移動。ラクダの手綱を持たせてもらって移動。

この時私は気がついてしまった。乗って移動するより歩いて移動したほうが楽しいってことを。キャメルサファリの根幹を揺るがす事実を頭のなかから打ち消して気が付かないふりをすることにした。

村に着くと井戸でラクダに水を飲ませて、それからそこに住んでいる人たちの家に案内してもらった。

家に入れてもらったけど、明らかになにかよこせっていうのが目に見えていて、何かくれと言う割に写真撮って良い?って聞くとそこの子供がNO!とか言ってきたり、かと言って何かを見せてもらうわけでも説明されるわけでもなくなんか嫌になって家の外に出た。怒ったとかそういうのじゃなくて、なんか切なくなってしまった。

まあ、そこの家の子供がそういうのも分かるんだよ。たぶんなんかくれって言えばなんかくれる人がいっぱいいてそれが家族にとってのお金を稼ぐ手段なのかもしれないし。一応ツアーできてるんだしなんかもうちょっとどうにかならないの?って思わなくもないんだよね。で、

そしたらラクダ使いの少年が

「どうしたの?家の中見せてもらわないの?」

「うーん、なんていうか写真はだめって言うしそれでいて何かちょうだいって言ってくるし、あげるものもないし少し嫌な気分になっちゃった」

「そうなんだ。僕の写真は撮ってもいいよ!ほら、僕の写真撮って!」

そう言ってラクダの前でポーズを決めてくれる。それでもう1枚撮ってと声をかけてくれる。

少年、良い子すぎるでしょ!!もうおばちゃんはキミのことが大好きだよ。

しばらくしたらスペイン人カップルたちも家から出てきて、そこからラクダに乗り砂漠を進む。

午後の部、私は既に砂漠の景色に飽きかけている。笑

砂漠は十分に非日常ではあるけど、どこも似たような風景なので。

村を出てしばらくすると日が傾き始め日没ギリギリで今日の野宿ポイントに到着。

複数の人のブログにラクダに乗るとお尻が痛くなるって書いてあったけど、私は特に痛みを感じたりはしなかった。人よりもお尻の肉が多いからだろうか。それともクロントムで買った自転車クッションパンツがいい仕事をしているのか(かなり作りがちゃっちいけど)。

ラクダから降りるとおじいさんが小屋から出てきてラナたちと一緒にごはんを作り始めた。

ラクダは荷物をおろしてもらってまたネコみたいに砂に背中をこすりつけゴロゴロしている。相当疲れたんでしょう。背中の私が重たかったから。

とりあえず目の前で沈もうとしている夕日の写真をとるため丘に登ってカメラを構える。なんか、もたもたしている間に夕日が沈んでしまった。

ここが私が夕日を眺めていた基地

日が暮れたところで本日の晩御飯。

村からアルジュンのおじさんが救援物資のビールを持ってきてくれた。スペイン人カップルにビール買ったよ!飲もうぜと声をかけると「今禁酒してるんだ」と衝撃の言葉をもらいていねいに断られてしまった。

仕方ないので一緒にご飯食べてるラクダ使いのおじさんにビール飲む?って聞くと、「もちろんだよ!ありがとう!」と返事をもらいおじさんと2人でビールを飲む。よかった。おじさんにまで断られたらめちゃ切なかったよ。助かった。

ご飯を食べを割るとラナが布団をひいてくれた。それがさ、寝袋とかじゃなくてホントに布団をそのまま砂の上にひいて毛布が1枚渡されて、なんというかギャグみたいな寝床なんだよ。写真は翌朝撮ったやつ。

 

で、地面に直接布団をひいただけだから地面をはうフンコロガシがたまに布団に上がってきたりとか!!!最高でしょ!!毎日は嫌だけど。

たぶん村が近いんだと思うけど、一応電波も入るみたいでラインとかチェック。

「おい、携帯使うのは最小限にしておけよ。蚊が寄ってくるから。」

ラクダ使いのおじさんに軽く注意される。なるほど、そんな砂漠の掟があったとは!

もうあとは寝るだけになったのでみんなから少し離れた丘の上で三脚を立てて星空の写真を撮った。

 

これ!ホントはもっとたくさん星が見えるんだけど、私のカメラ技量ではこれが限界。

みんな、ぜひ自分の目で見に行ってみてください。

何枚か写真を撮って就寝。

5日目終了

 

・・・おまけ

夜はそこそこ冷えるけど布団をかけていたら全然問題なし。

ただ、私はこの旅の始まり当初から喘息気味な咳が出ていて、寝転がっていると咳が止まらず、一度目が冷めてしまった。咳が止まらない。そして眠れない。

まわりはほとんど音がなくて。シーンとして静かで、少し距離をとって布団をひいているとは言えみんなに申し訳なかったです。みんな起きてる素振りは見せないけど、絶対気にはなってると思う。

咳を止めて眠る努力はしたんだけどもうどうにもならない。

仕方ないので、リュックから一眼レフを出してまた星空の撮影をすることにした。

たぶん向こうの明るいところが村なのかな。

咳を我慢しつつ星空の撮影を続けます。

そうこうしている間に地平線の向こうからゆっくりとライトの光が近づいてきます。

車のライトみたいに地面と平行にすすんでくるのではなくて、たぶん誰かが手に持って歩いているようで、ライトが大きく揺れながらこちらに近づいてきます。

時刻は12時過ぎ、こんな真夜中にこんな砂漠の真ん中を徒歩で移動してくる人っていると思います?

普通いないですよね?なに?盗賊?

私以外にはだれもナゾの訪問者には気づいていない。

横では私に背を向けて寝ているラナ。

少し距離をあけてスペイン人カップル。

これはラナに知らせるべきなのか。

でも、そもそもここじゃなくて何処かに向かう関係のない通行人Aかも知れないし。

何処かに?それってどこ!?こんな時間に!?

とか考えていたけど結局ナゾの訪問者はこっちに向かって歩いて、

そして私に声をかけてきた。↓これその人影

「大丈夫?咳きこんでるみたいだけど。」

英語のしゃべれるインド人のおじさんだった。

「!?・・・あ、大丈夫です。」

「熱とかあるのかな」

「いや、この咳は熱があるとかじゃなくて、ここに来る前からこんなかんじなので大丈夫だとおもいます」

「そうか、ならよかった。キミが咳しているのが聞こえたから心配して来てみたんだよ」

「そうなんですか。ありがとうご・・・・ゲホゲホ」

「おお、大丈夫かな。夜は冷えるから時々体調を崩す人もいて。・・・心配だね。」

枕元にすわって心配そうにこちらを見ているおじさんと、心配ないよ!大丈夫だよ!ってつたえたいけんだけど私の意志に反して咳は止まらず、おじさんはおじさんで心配ではあるけど薬を持っているわけでもなくただただ心配そうに見ていた。

ありがとう。でも若干気まずい。5分くらいすると若干マシにはなってきて、おじさんも引き上げるタイミングはココだと思ったらしくて、

「大丈夫かな?もういくね。」

といって帰っていきました。

地平線の向こう(とはいっても砂の盛り上がったところのむこうがわなのでたぶん5、600Mくらいだと思う)まで響く私の咳、どんだけ迷惑なんだ。

仰向けに寝っ転がっていると視界全てが星空で眠るのもったいないなって思いながら眠りにつきました。

私のやりたかった「30歳の誕生日に砂漠で星を見ながら野宿する」は、1日遅れではあるけどきちんと達成されたのでした。

本当に5日目終了。